H氏は、なぜ、T社長を経営コンサルのターゲットに選んだのでしょうか?いくつかの理由が考えられますが、同社長が経営する「C」がIPO(株式公開)を行った直後であったことに関係がある、と考えることができます。
社長がアントレプレナー(起業者)であり、かつ大株主であるようなベンチャー企業では、社長は孤独です。
そして、その精神状態ややる気が企業そのものの業績にも反映する傾向が見られます。
起業者は、「株式上場」という大きな、そして明確な目標を達成してしまった後、その先の「外資系コンサルテイング・ファーム」の実態新たなゴールや意欲を見失いがちです。
そうした燃え尽き症候群に躍りかかった絶妙のタイミングで、有名「外資系コンサルティング・ファーム」の「パートナー」が、企業経営者の耳元で、上場を果たした今こそ、組織や従業員を弛緩させることなく、新たな目標・ビジョンを打ち出すべきです。
そのご相談に乗りましょうか?と瞬く。
これが、経営者の心の琴線に触れ、コンサルを頼む気にさせたとしても、不思議ではありません。
このように、「戦略系コンサルティング・ファーム」の「パートナー」は、アンテナを高くして、さまざまな企業や組織の動静の把握に努めます。
そして、さまざまな情報から、その組織体のトップの悩みを推測します。
さらに、そうした経営者や指導者にとっての課題や悩みに対する処方筆のアイデアを、タイムリーに睡きます。
「パートナー」は、こうした一連の行動により、プロジェクト(仕事)を獲得する、というセールスマンとしての役割も担っており、これこそが、「パートナー」にとって、最重要の仕事なのです。
それでは、彼らの顧客は、何を判断基準として、「コンサルティング・ファーム」を選別しているのでしょうか?「外資系コンサルティング・ファーム」のお客様は、企業や政府系機関・大学などの組織体をマネジメントしている人々です。
知的水準や経験などでも、一流の人々だと考えてよいでしょう。
そうした人々に、少なくとも数千万円、多いケースでは、10億円以上という高額のコンサルティング科を支払う決断をさせる決め手は、いったい何なのでしょうか?しかも、コンサルの結果やアウトプットは、事前にはわかりません。
コンサルティングというのは、「やってみないことには、何が出てくるかわからない」というきわめて異例な商品です。
こうした不確実なものに対し、億円単位の支払いを行うことは、大組織を運営している経営陣にとっても、かなりの勇気が要る決断です。
じつは、こうしたむずかしい決断を経営者が行う際に、決め手となるのは、グの提案内容でもなければ、その「コンサルティング・ファーム」の過去のコンサル実績でもそれらは補助的な資料にすぎないのです。
最後は、経営者などのマネジメントが、そのコンサルタント個人を信用し、彼(彼女)に任せようと思うか否か、がポイントとなります。
この意味で、「パートナー」となり、成功するには、単に、ある業界に詳しいとか、論理性やプレゼンテーション能力に優れているなどの「コンサルティング力」以上に、人間として信用されているか、魅力的か、といった「人間力」が求められるのです。
そして、数多くの優れたコンサルタントの中から、知識・経験そして人間力ともに優れた一握りの人材だけが、「パートナー」に昇進できることになります。
それでは、「パートナー」になるためには、どのような経験を積んでいくことが必要なのでしょうか?かりに、あなたが、「外資系コンサルティング・ファーム」に就職できたとして、「パートナー」となって数億円を稼ぐまでの聞の報酬体系はどのようになっているのでしょうか?ここでは、「外資系コンサルティング・ファーム」に入社した人が、「パートナー」になるまでの歩みを見ていくことにしましょう。
まず、「外資系コンサルティング・ファーム」における職種を整理しておきましょう。
ここでは、「マッキンゼー」と「ボストン・コンサルティング」の例を取り上げます。
図表日は、両社の職種を比較したものです。
ご覧のとおり、両社で呼称は異なりますが、基本的には同じ職種構成であることがわかります。
@新卒者あるいはビジネス・キャリアが4年以内の人。
|本書では、「アナリスト」と呼びます。
さて、「マッキンゼー」や「ボストン・コンサルテイング」といった有名な「外資系コンサルティング・ファーム」に就職するには、2つのルートがあります。
新卒と中途入社です。
以前は、新卒採用というのはほとんどなく、ある程度の社会経験を積んだ20代のビジネスマンが、海外の経営大学院でMBAの資格をとって帰国し、コンサルティング・ファームに入社する、というのが一般的なルートでした。
最近の「外資系コンサルティング・ファーム」は、業務の急拡大により、中途だけでは人材が足りず、有名大学や大学院などから、新卒者を採用するようになっています。
まず、その入社試験のやり方から見ていきましょう。
「外資系コンサルティング・ファーム」の入社試験は、基本的には、インタビュー(面接)中心です。
成績優秀な学生しか応募してこないことから、ペーパーテストはまず行われません。
外資系コンサルティング・ファームのインタビューは、N圧迫面接だしかも、それが一時間も2時間も続く。
と言われることがありますが、世間にあるような、不必要に脅したり、理不尽に問い詰めたりするか圧迫ではなく、論理性やストレス耐性をチェックするための長時間の面接が行われています。
まず、就職希望者に、ある課題を与え、その回答を答えさせます。
そして、「それはなぜですか?」、「そう考えた理由は何ですか?」、「それはどのような事実で証明できますか?」、「その考えを証明するためには、どのような手段が考えられますか?」と次々に問いを発していき、それらを理論的に説明できる能力と、そうした心理的に追い込まれた状況下での対応力を見るのです。
こうしたインタビューを経て、晴れて「外資系コンサルティング・ファーム」に新卒で入社した場合、まず、「アナリスト」という職種につきます。
また、中途入社でも社会経験が14年程度と少ない場合や、まったくの異業種からの転職の場合、このクラスになることが多いようです。
一般の会社から「コンサルティング・ファーム」に転職した人が、初日に出社してまず驚くことがあります。
それは、「コンサルティング・ファーム」のオフィスには、「アソシェイツ」や「アナリスト」の個人机がないことです。
ファームによっては、「プロジェクト・マネージャー」や「パートナー」にすら、専用の机がない場合もあります。
「マッキンゼー」や「ボストン・コンサルティング」など大手の「コンサルティング・ファーム」では、数百名の社員を抱えています。
しかし、その多くがいずれかのプロジェクトに関与し、クライアント(顧客)の工場やオフィス(これらを「サイト」と呼びます)に常駐しているケースが多いのです。
ファームのオフィスで作業をすることもありますが、その際には、出社時に、もちろん、パーティションで区切られた専用ブースを借りることになります。
今日はE6、明日はGーロといった感じで、これまた自分で購入したPCの専用線につないで仕事をするわけです。
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